スタジオパークに綾野剛


カーネーション』の周防も好青年だったが、
その演者たる素の綾野剛が、また
輪かけて魅力ある人物なのがスタパで判明。

周防龍一のどこが一番の魅力かと問われたら、
あの空気をピリピリと震わせて心地よく響く、
魅惑の低音ボイスを、迷わず筆頭に挙げるであろう
個人的嗜好からすると、

ソツなく丁寧、謙虚にして骨のある、流暢でクレバーな語り口を
耳にした段階で、間違いなくオトコマエ、との確信は出来上がるんだが、

それはあながち外した直感でもないらしく、
番組開始直後に映った見学者スペースの込み具合ときたら、
おそらく最高ランクの部類に属するのではないか、
当然ながらほとんどが女性、しかも年齢層も様々なのが、
朝ドラ効果を如実に感じさせる。
なんと早い人は午前三時から並んでいたそうで、
想像以上の過熱ぶりに驚いた。
始まる前からFAXが1800通超え、とか。すごいなあ。

延期に次ぐ延期に泣かされたファンの思いを、汲み取れる度量に感心。
二度目の延期の時に、スタパのスタッフルームへ自ら出向き、
twitter経由でメッセージを発信した、とのこと。
思いを寄せてもらったことに、きちんと応えたかった、と。
こういう、誠実を尽くせる人にはからきし弱い。
一気に好感度が跳ね上がる。

役に入り込むタイプ、と本人弁。
オノマチ同様、役柄によって印象が一変する、のは
言われてみれば確かに。
(透明な水を思わせる涼やかな変幻自在ぶり)

トーク中に流された周防と糸子の別れのシーンに
何故か初見時よりじーんと胸打たれる。
「さよなら、お元気で」とお互いに言い合う二人が、以後再び
会うことはないのだと知った上で、観ているからだろうか。
やたら切なく、苦しい。

そうそう長崎弁、この人のはとりわけ色気があった、色っぽかった喋り方が。
そこに、あの低音の声の響きと、落ち着いた口調が加わるのだから、
たまったもんではない。しかも「ハンサムすぎる(by渡辺あや)」、
どうしたもんかなこれ。苦笑い

カーネーション脚本家、渡辺あやからのメッセージ。
周防龍一の強烈な存在感に、現場は夢中になり、脚本の構成バランスは見事吹っ飛び、
「全部持っていかれた」ようで、敗北感でいっぱい、としながら、
作り手のコントロールを超えて暴走する状況に創作の醍醐味を感じた、との大絶賛ぶり。

さらに初出演した『仮面ライダー555』の石田秀範監督(おー!)からもメッセージが届き、
これは本人も予想外だったらしく、ひときわ嬉しさと感謝を表情に滲ませていた。

石田監督曰く、基礎も何も出来てない酷い状態だったが、彼には俳優(表現者)に
最も必要な要素である「雰囲気」があったと。
また、22回のNGにもめげず、スタッフに怒られても必死で食いついていく根性や
折り鶴を燃やすシーンで指を火傷しても、注文に応えようと頑張る真摯さ、が
印象に残っていると。

石田さんじゃなかったら楽しいと思えてなかったかもしれない、とつぶやく綾野剛

その後、作家性の強いインディペンデント系映画に立て続けに出演することで、
「役柄の人としてそこに生きる」ということを学んだとも話していた。
何もしない、足さない演技、存在感で勝負する、そういうことを。


しかしまあ。いまさら言っても詮ないことだが、綾野剛演じる周防を、
画面でもう一度、見てみたかった、そして、糸子に会わせてあげたかった。
(要らぬお節介を承知で、こっそり本音を白状してみた)



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