マシン設計図を守れ!/特命戦隊ゴーバスターズ(8)

監督:柴崎貴行、脚本:小林靖子


二巡目の柴崎×小林コラボに、映像面で頭ひとつ抜けてる感を強くした回。

◇交互にカメラの寄りと引きのショットを組み入れて、人物の醸す情感や場面の臨場感と、全体の状況把握の二つを効率良く見せるテクを、バトルシーン以外でも使ってたが、
いま何が起きているかの情報の纏め方と(視聴者への)伝え方が巧いので、映像面における情報伝達の過不足に関するストレスが極端に少ない。
格好良さと見やすさ(分かりやすさ)のどちらもクリアしている。今回の仕上がりも水準高し。

◇印象的だったのが逆光使いで、
最初は戦闘開始直後にイエローがジャンプし、バグラーの肩を蹴って飛び越えるショットに、次には地下格納庫から、せり上がるようにしてビル街のど真ん中に出現するエースに、最後はゴーバスターオーの決めポーズ時に(おまけの黒煙つき)、効果的に(そして格好良く)見せていた。

◇ヒロムとヨーコのコックピットへのスタンバイから司令部へ切り替わる時も、ズームのイン&アウトの使い分けで、流れに心地よいリズムを作っている。

◇自然光に映える巨大ロボの質感が、ふるいつきたくなる美しさで、もうたまらん、などとうっとり見とれる(変態さん一丁上がり)。
いい感じのテカリとか、影のつき方とか、色味の出方とかも含めて。美味しいです。

◇敵メガゾードが道路の下から、石つぶて瓦礫を盛大に吹き上げながら撃ちまくる水平目線(アングル)ん時のジオラマ、標識や外灯や黄色のクーペやらの温もりのあるミニチュア感にちょっとぐっときたり。

◇敵ロボを倒す決め技、ディメンション・クラッシュだっけ、があまりにあっさり呆気ないのがちと不満。
ここ数話のパターンな気もするが、キメには現状より一段上の盛り上がりを希望。(これ以上望むのは贅沢かと多少の躊躇を覚えつつ、あえて欲張ってみる)


◇脚本に関して。先週に引き続き、新社会人向けとも受け取れる「幅のある」内容、面白し。
主なるテーマ、チームワークの大切さがどかんと鎮座まします中に、チーム内の誰かのミスは、別の誰かがカバーすれば問題なし、
仲間のミスを執拗に責めて、次のチャンスを潰すことは絶対にしないとか、合わせた力は足し算じゃなく掛け算となるんだとかの教訓が、過度に説教臭くならない程度に盛り込んである、
そこは戦隊の王道、外すわけにはいかない、であればどう巧くその王道を見せるか、が勝負になる。

また今回のように、夢という名のご都合主義の幻想に溺れるあまり、任せられた目前の仕事を放り出して、後悔のしっぺ返しをくらうのは自分自身だよと、その場だけの口当たりの良い糖衣にくるまず、結構ありのまま辛辣に見せるのも小林脚本らしい。
失敗は失敗。誤魔化し無効。リセット不可。
苦い現実を直視し、潔く過ちを認めることから、次の飛躍へのステップは始まる。
その通り。異存なし。

◇極秘情報を奪われまいと、変身前の素のリュウジがチョップでコンピューターを破壊、メタロイドに「お前は人間か」と驚かれ、「たぶんね」と自嘲気味に答えるやり取りが事前に入るからこそ、素のリュウジとスーツ怪人とのバトル成立に説得力が備わる。
リュウジが普通の人間以上の能力の持ち主なのが示されるので)
この辺の抜かりない細やかさが、後から結構デカイ出来の差となって響いてくるように思う。

◇加えて上記シークエンスにおける素から変身へと、バトルを味気なく中断しないスピーディな流れもよし。
(演じてる方は大変だろうが、その努力が報われる映像に仕上がっていたと思う)

◇13年前に行方不明となった「先輩」が、今後どういう形で展開に絡んでくるのか、ひとつ話に膨らみをもたせた感じ。
(このパターンで少しずつ内容に奥行きを追加していくのかなと予想)





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