「あなたはそのままでいてください」

今週の土スタにて。
朝ドラ『純と愛』のヒロインを演じる夏菜のイメージを
父役で共演する武田鉄矢が見事に的を射た形容で評したのに、思わず吹いた。

飼い主に三日ぶりに散歩に連れ出された嬉しさから、やたら張り切ってそこらを駆けまわる柴犬みたいだ、とか何とか。

立ち居振る舞いから動作から台詞回しや感情の出し方まで、常に素直な懐っこさ全開でぴょんぴょん跳ねてる感じのする
彼女の持ち味を、なんと的確に言い当てたものかと。

夏菜演じるヒロインの純は基本裏表のない素直ないい子なんだが、玉に瑕なのはお調子者なのと褒められたがり屋なところで、
あの地面から少々浮いてる頼りなげな浮遊感というか、息を吸って吸って吸って吐くのを忘れてるような
(どっか変なとこにむやみに力が入ってる感じの)ガチャガチャした落ち着きのなさ、が時と場合に応じて意識してセーブできれば、
もっと持ち前の良い面が引き立ってくるだろうし、また今後そんな変化が織り込まれそうではある。

変化を促す原動力はやはり愛(いとし)になるんだろう。
愛ですよ愛。しかも純愛ときてる。
今ではずいぶん手垢のついた感のある題材に、衒いなく真っ向から切り込もうとする勇気と本気に拍手。
何を見せてくれるか期待も高まるというものだ。

勤務するホテルの規定に反しても、お客の満足のため笑顔のため行動してしまう純の心意気は間違っちゃいないし天晴だが、
しかしそれは当然ながら「上司にこっぴどく叱られる覚悟で」やることであって、ひとたび叱られた時は
ひたすら頭を下げ続けるしかない立場なのを肝に銘じる必要はあるだろう。

だからゆめゆめ褒められようなどと「不純」なことを期待するのは甘いのであって、そういう見込みの甘さは
若さゆえの未熟でもあるから、
彼女の見上げた信念は曲げずに、ただ今後そこにリスクを引き受ける覚悟さえ備わったら、もう何にも揺らがない、
どんと構えて怖いもんなしになるんじゃないか。
その意味でも、純のこれからのバージョンアップが楽しみだ。
ひるまず恐れずたくさん失敗すればいい。失敗を繰り返してたくさん学んでいけばいい。
すべて後から(頭でっかちの知識でなく、体当たりで傷だらけになりながらその身に刻んだ)かけがえのない財産になるから。






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