純と愛/しんじるこころ


※あの純愛テーマを地で行くOP曲とイラストの、健気かつ可愛らしさの相乗効果に和むという
毎朝のひととき繰り返される儀式のような習慣が、しっくり馴染んできた気がする以前にもまして。
朝ドラ=時代錯誤の優等生的真面目さを基調としたどこか堅苦しいイメージ、が
払拭されたせいも大いにある。今も視聴が続いてるのが何よりの証明。

めずらしく今週分をまとめ見しての雑感など。


客の要望に沿うべく無理して通常業務外の約束を交わした純に対する、桐野の釘刺しは正論ではあった。
アクシデント発生時、つまり約束不履行となった場合に、純という一従業員の問題を超えて、
彼女の勤め先たるホテルが面目丸潰れとなるわけで、
慎重に判断してもらわないと困ると苦言を呈すのは、ホテル側の人間としては当然の危惧だろう。

ただ本人が意識するよりずっと家族を大事に思ってる純だから、身内より他人様(客にも勤め先にも)へ
迷惑をかける事態を優先して回避すべし、などというそこまでの確固たる信念&社会人としての自覚が
育っているわけじゃないのが、新入社員の泣きどころか。

愛(いとし)が那覇行きを薦めたのは、純の胸の内の願望を察したからだったが、
それが適切な選択かはまた別の話である。
純も愛も社会経験の浅い若者特有の未熟さを共有している。
それは、まだまだ伸び代は多い、ということでもある。

ついに愛にとっては禁断の過去(彼を決定的に変えてしまった)が明らかとなった。
彼には自身の存在意義を常に脅かし続ける「呪い」が、
二卵性双生児の弟の死以来、ずっと「かかったまま」らしい。
そのせいで思わぬスピ系の能力(人の本性が見えてしまう)が開花したのだという。

その彼の深刻な悩みひっくるめて、彼という人間丸ごと受け止める、信じ切る、と心を決めた時から
純に(おそらく彼女本来の良さだろう)清々しく逞しい笑顔が戻ったのは喜ばしいことだ。

自分の心さえしっかり決まれば、色々な人の勝手な思惑に一喜一憂することもなくなる。
何より馬鹿馬鹿しくなる。無責任な言動と承知の上で律儀に付き合う義理はない。
たとえ失敗しても決めた主体が自分なら、その時点で迷いがないから後悔もない、
ありのまま受け止めて、諦めず次に繋げればいい。
受け止め方次第でどうにでもなる。またできるのだ。

助けを必要としている目の前の人のために、何か自分にできることがあるんじゃないか、
関わることによるリスクを恐れて、何かできるはずなのに何もせず見過ごすのは、
見捨てることと同義で人として冷たいのではないか、といった考え方を
無意識であれ、純はする人間なのだと思う。
自分を傷つくことから守るための虚飾で固めた鎧を必要としない、真っ直ぐに相手と向き合える勇気と思いやりが、
彼女には備わっているようだ。

純の行動を無用なお節介と腐すのは簡単だが、せこい保身とは真逆の
清潔かつ健やかな生き方なり心根に、
その損得勘定抜きのひたむきさ純真さに、胸打たれる。
愛ちゃんじゃないが、負けるな挫けるな頑張れと応援したくなる。

来週は愛を呪縛してきた呪いから彼を開放すべく、がむしゃらに奮闘する純の図、がメインとなるのか。
現時点での「眠り姫」なイメージは愛の方なんだが、この順当な(?)予想を裏切る二転三転を期待して。





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