詩と音楽が語ること(小澤征爾/大木伸夫)


今朝、何気なくTVをつけたらBSの特選オケライブ枠で小澤征爾特集(というのか)をやっていて
そのまま引きずり込まれるように番組の最期まで聴き入ってしまった。
知っていれば録画予約したものを。宜しく再放映だよNHK

水戸室内管との『ハフナー』第一楽章ラスト辺りから視聴し始めたんだが、ピンと張り詰めた糸のごとき緊張感を保ちながら、
それでいて膠着した息苦しさに陥ることなく、観客の心にすっと入り込み
真摯に語りかける音の一つ一つにこもる繊細なニュアンスが、くっきりした輪郭を形作って
音楽を紛れもなく「言葉にしている」と感じた。
聴く者に語りかけるコミュニケートの明確なる意志に充ちた音楽。
それは過日耳にした、吉松隆平清盛サントラ楽曲を紹介する番組(自分好みな楽曲で編まれた交響組曲平清盛」には感激)内での
舘野泉のピアノにも感じる「音楽による言葉」なのだった。

09年のサイトウ・キネン・オケとのブラ2にも、小澤征爾の心が音楽という言葉を通じ
実に豊かで明確な意思を伴って語りかけられていて、
音楽は確かにブラームスなんだが、そこに流れる心はやはり
小澤征爾という人の在り方や思想というものが
具体的な音楽の言語となって貫かれているのだった。

並々ならぬ強靭な不屈の意志は、きっぱりと悲観を断った朗らかな明るさを連れてくる。



昨日は録画しておいた佐野元春のザ・ソングライターズ(THE SONGWRITERS)を見た。
ゲストはACIDMAN大木伸夫

子供の頃に父親から「宇宙には果てがない」と教わり、
想像もイメージもできない、信じられないスケールの大きさに圧倒され、夢中になった。
いったいこの世界とは何なんだ、と興奮した。のめり込んだ。

明らかにこの世界は何らかの大きな力が働いている、そうとしか思えない現象に満ち満ちている。
その子供の頃の驚き、畏怖は、
科学を勉強すればするほど、宇宙を勉強すればするほど、いっそう極まったという。

輝く星に明日が見えるまで
僕らは手を伸ばす
時の流れに消えてしまわぬように
僕らは愛を抱く
(『ALMA』より)

ところで毎回ナビ役の佐野元春が、ゲストの発言に深い共感同感を示す時の
「ああ!」という感に堪えない風のため息声が、私にはとても好ましく感じられる。
そのため息を耳にするたび、いいなあと温かな思いに包まれる。






.