ゴーカイジャー(12)感想メモ






海賊戦隊ゴーカイジャー/第12話「極付派手侍」

監督:坂本浩一、脚本:荒川稔久


◆岡元次郎バリゾーグを前回に引き続き堪能しまくり。立ち回り、所作の一々がゆるく慣性に流れずピシッと決まる(止まる)のが、見ていて実に気持ちがいいのだ。あと静から動のアクションに移行する際のタイミングを、ゼロコンマ何秒まで細かく見極めていそうな勘の良さにはいつも感心する。その点では(個人の贔屓目からばかりでなく)この人の右に出るスーツアクターは未だいないのではないかと思う。

◆そしてその、かつてのシド先輩ことバリゾーグに派手にブッ飛ばされて、すごい勢いで画面に映る背景の奥まで一気に転がっていく生身のジョー、という容赦ない演出にニヤリ。さー始まったぞー!(鬼に徹した坂本アクションがー!)的ニュアンスで。Bパートで他の面子4人も同様の憂き目に遭ってふっ飛ばされてる辺り、坂本監督の平等精神の表れかもしれん。なんて。レギュラーの顔出し俳優陣も、例年より難度上げた要求に、頑張って喰らいついてるのが見てとれて好印象だ。

◆引き続き演出話。Aパートで見せたマベ&ジョーの背中合わせで応戦する際の、殺陣の手順をまんまBパートの変身後のスーツアクションにて再現してみせる、そしてご丁寧にそのAパートの同ショットを回想的に重ねて挿入してくる、情感の駄目押し演出に注目したい。アクション以外での演出手腕もなかなかに王道なツボを心得ていて、これはうっかり見逃せないなと再認識した。

◆また前回の第11話含めたカメラワークに関しても、以前のデカレン回やアクセルのVシネ等のような極端な手ブレ画面がほぼ排除された事で、格段に観易く(画面に集中してアクションがどう展開するかを追い易く)なったのは、何より喜ばしい。SAの動きにピタッと吸いつくように移動するカメラは、とりわけワイヤー使用時に最大効果を発揮するようで、福沢ハリケンレッドが画面左側の石垣を蹴り上がる勢いを利用しゴーミンめがけて切りつけるや、たちまち後ろへ飛びすさるという動き以降の一連のワイヤーアクションが、さらに滑らかで臨場感あふれる映像に仕上っていたと思う。

アバレイエローに変じた蜂須賀SAが空中を飛びまわってゴーミンを倒しまくるのを、下からのカメラの移動(とアングル&レイアウト)で立体的に見せたのに興奮を禁じ得ないでいると、とどめに、左手上空から地上へ駆け下りてくるハリケンレッドのワイヤーアクション(感涙!)がきて、さらに興奮が掻き立てられた。

古臭い縛りや慣習に制約されず視点が自由自在なのは観ていてワクワクする。撮り方見せ方の可能性はまだまだ残されている。要はそこにいち早く気づける賢さや、新しい試みに果敢に切り込もうとする意思の有無、ではなかろうか才能以前に。作り手がまず完全にルーティンワーク意識を捨てて誰より面白がってくれないと、そこは以心伝心というやつで、視聴する側の我々が面白い!と感じるわけがないのだ。「慣れ」が一番厄介で怖ろしい。

◆ゴーカイ面子の各自が他戦隊にチェンジする度に、その戦隊キャラの技名を律儀に叫ぶのもツボだった。(これまでの他監督の回ではここまで徹底して凝ってなかった気がするので。思うにある意味で坂本監督はオタッキーな資質の持ち主なのでは。それか常にファンの期待の遥か斜め上を目指したがる旺盛なサービス精神の持ち主か。・・・・・・両方かもしれん。)

◆ゴーカイ侍斬りー(と聴こえた)を決めた後の、こちらに振り向きざまにチラ見せしたロボたんの足の裏に、心臓を撃ち抜かれた。 かーわいー(思わず目がハート)!
さらに「どうだ」とばかり誇らしげに左肩を落とし、身体を傾かせた恰好で見得を切るポーズの愛らしさも鼻血ものである。 異論は聞く耳持たず。あしからず。 ←苦笑

東映公式の岡元次郎ゴセイナイトとその肩にとまるナビィの2ショット(なのかあれも)が激しくお気に入り。こちらも「かーわいー」の仲間(仲間って)と云えよう。もはや、ぷりてぃ次郎、と呼びたい。またその斜め上のフォト、福沢シンケンレッドの太刀を、片膝ついてゴセイブラスターにてはっしと受ける竹内ゴセイレッドの格好良さにも、つい見とれる。ちなみにボトム部分の白の配色には危ない色気がある(あ、云っちゃった)と今でも思う。異論は、(以下略)。
だがそれもつかの間で、次週予告ではギンガグリーンに扮しておどけたポーズをとってみせる竹内SA、なのだった。さすがネタに手抜きなし。素敵だ。


※先日劇場版を視聴した折、釼持グリーンの格好良さ(気合いがまたねえ)を再確認した流れで。
うーむ。やはりサビ部分(「クラッシュアタック!」のアタック!のとこ)が「ヤッター!」と聴こえる。
ね、クラッシュヤッター!、ってほら、ほらどう、違和感なくないか、だよな、ないよな、ないない。
(誘導してどうする)
/ 超電子バイオマン  宮内タカユキ