カンゼンゴーカイオーの華麗なるターン!/ゴーカイ(38)+フォーゼ







感想は簡潔に箇条書きにて。

◇良かったところその一。いつもバンク映像で済ませるのを新撮にして、ゴーカイメンツ各自の見せ場アクションで盛り上げた名乗りシーン。ただ約一分程度であっという間に終了だったのが悲しい。もう少し引っ張ってくれてもいいんじゃないか、な等身大(スーツ)パートであった。

◇良かったその二。巨大ロボ戦でのカンゼンゴーカイオーになったことで、これまでより足回りが(炎神マッハルコンが合体したおかげで)格段に良くなり、アクティブな動作をCG以外でもそれなりに見せられるようになったこと。ローラースケート宜しく、ぐるんと方向転換してみせたショットが本日ロボ戦での花丸。他にも車輌みたいに前進したりと、動きに幅が出た感じも。掛かっていたBGMが宙明サウンドぽい(願わくば御大作曲でありますよう)否応なく”燃え”を喚起する曲調だったのも花丸。

◇バリゾーグVSジョーことゴーカイブルーの一騎打ちは、もっとじっくり見たかった、見せ方もまだあれでは物足りず。肝心な「決め」ショットでのCG多用は、アクションのプロ使ってるのに勿体なさすぎ、それと刃が直接交わる瞬間をカット割りで省略しすぎ(肝心な見たい部分ゆえガッカリ感が半端ない)、これだけは譲れない残念ポイント。

既存のカラをもう一つ突き抜けてみてもいいんじゃないのか、もっともっと新しいこと出来るはず、同じやり口を繰り返すのが伝統守ることではないと思う。アクション面で坂本監督ひとりが突出して特別視される現状(CG多用する従来型との落差)にまで、東映の安上がり体質を盾に言い訳されても、この件ばかりは聞き苦しいものがある。各監督どれも甲乙つけ難いと唸らせる、バラエティ溢れるアクションの妙味をこそ見てみたい。

また素のジョーに戻ってバリゾーグに止めを刺すのは(そう描きたい気分は理解すれど、現実的な変身後との力の差を考えると)、描写として腑に落ちない。
わざわざ手間かけて変身する意義(設定上の最も大事であろうお約束)を、あんな風に簡単にぐらつかせる演出にする必要はあったのか。たとえばジョーの面差しをゴーカイブルーの面に重ねる手法でも、十分本気度が伝わったのではないか。
嘘は上手につき通してこそ効力を発揮する、と思うのだが。

◇単身バリゾーグの仇討ちに駆けつけ、無残に散ったワルズ・ギル殿下の、あまりに哀れすぎる最期に、ゴーカイ側にもザンギャック側にも、好意的に解釈しがたいもやもや感が残った。ゴーカイ五人に対したった一人での仇討ち、とくれば、どうしてたって判官贔屓にならざるを得ないではないか。
というか何故にザンギャックの幹部以下部下どもは、殿下を見捨てたのか、そもそも謎ではある。援護しなかった失態をどう本星に報告するつもりかねダマラスなんぞは。たとえ部下と口裏合わせても本気で実態調査が入れば、真っ先に幹部の首が飛ぶのは(悪くすれば死刑の可能性も)必至だろうに。
わざと死に追いやったのなら、嘆いてみせたのは芝居となろうが、にしたって誰を意識しての芝居かも判然としないわけで。
中途半端なのだよ色々と。次回スッキリさせないとマズイんじゃないその辺のこと。

◇ここまで書いてきて、今回の個人的ツボを、OPクレジットにさりげなく大藤直樹SAの名前が再登場した件だと言ってみる。
クレジットの文字だけで密かに嬉しくなってしまう脳天気さがファン心理というものであり、馬鹿に徹する覚悟が決め手と言えよう(人生も同様)。

◇おまけ。本日のフォーゼ脚本のお花畑なイカレポンチぶりには唖然。本人による自分の欠点の言い合いっこで、でもみんな個性的でいい奴ばかりだ〜と自画自賛で頷き合うライダー部の皆さんの醸す不気味なムードに腹一杯、一体どうしたことやら。
SHT枠でこれほど背中がゾワついたのは多分初めてかも。突発的に「不穏な衝動」が何度となくこみ上げてきて困った。
(ええいぬけぬけとフザケたことを!一刀両断に成敗してくれるわ!——なりませぬ殿!殿中ですぞ!御慎みを!)を空耳するなど。