敵だから差別OK、なんて理屈はない/ゴーカイジャー(40)







ゴーカイ・第40話『未来は過去に』、今回のは脚本に対し、最低でも台詞とプロットの二箇所に腑に落ちない引っかかりを覚えた。
まずゴーカイジャー側に(※訂正:発言者は鎧ではなくハカセだったかもしれない ←記憶がウロ)アヤカシ連中のことを「気持ち悪い」などと差別発言させる必要はあったのか。観た限りでは、別に省略して差し支えない台詞に思えたが。
となると「意図して言葉を慎重に選ばない」、のではなく「配慮しない=意図しない、から言葉を慎重に選べない」、いわゆる結果論ということになるのか。

迂闊に使っちゃマズイとの意識が薄いから平気で使っちゃうのなら、今後を考えるにそっちの方が気掛かりだ。
また憧れのヒーローの言動が、視聴してる子どもの倫理形成に少なからず影響をおよぼすのを承知の上でなら、心底ガッカリだ。
敵だから差別して構わないと教えたいのか、まさかとは思うが。
敵だろうが味方だろうがたとえ誰だろうが、分け隔てなく「悪事を蹴散らし、弱きを助ける」からクールなんであって、見た目でケチつけるとかあり得ないヘボさ。少し考えてみれば分かるだろうに。
Pのポストは何のため。最終チェック段階で気づけなかったのは何故に。楽しけりゃいいってもんじゃないよ子供相手なんだから、そこは言葉ひとつにも慎重を期すべきだろうよ。当然の心がけとして。

それに「気持ち悪い度」でいえばゴーカイシルバーにしたって、露店のお面売りかと突っ込みたくなるなんちゃらモードとか大概だろうよ。化け物が化け物を気持ち悪がるって何のブラックジョークだか。
いつも大袈裟にアピールしまくる低姿勢の反動で、裏表の激しい信用ならないセコイ奴に見えてしまうじゃないか。

香村純子脚本も段々と(宇宙警察が、追い詰めた犯人を即席に下された判決に従い、その場でデリート(消去、という表現からして虫酸が走るレベルだが)して構わないとする暴挙が平然とまかり通るデカレンにしろ、人間と同種のグロンギを絶対悪に見立て、五代を除き最後までその罪深さを誰一人直視しないクウガにしろ、「お膳立てした人助け」に従わず自力で道を見出す者に対し、裏切りと称してバッサリ切り捨てるカノンにしろ)正義を描いてるつもりで、無意識に差別感覚に引きずられるのが常な師匠(荒川)の特徴を備えるようになったと見るべきか。

荒川稔久脚本といえば次週は第29話のアバレ回(9.11OA)以来、約3ヶ月弱ぶりの登板となるわけだが、洒落にならんここまでの不在期間の長さから、密かにメインライター降りたのか、と思っていた。
伝え聞くところによると、ちょうどその頃に井上敏樹から「ヌルい予定調和にまとめたりしたら俺はお前を許さん」などと釘刺されたそうで、まさかそれでスランプに陥ってたのか、とかちらっと過ぎらぬでもなかった。真相は如何に(どうでもいい野次馬興味で)。

プロットの方の引っ掛かりは、ドモンがなんちゃら神社を倒壊させたくなかった理由が、最後まで不明だったこと。
ラストシーン直前まで、その場に居合わせた我が子を事故から(そしてアヤカシの攻撃から)守りたくて、ゴーカイメンバーを行かせたのかと理解していた、がラストを見るかぎり、写真を見て驚き感激する様子から、我が子の存在は想定外だったように見えた。
とすると一体彼の目的は。何故に2010年の神社の倒壊を防ぐことが、ドモンに重要視されたのか。
全く分からない。エピの根幹をなす動機が不明では、そもそもエピ自体が成立しないんだが。
ドモンが過去にちょっかいかけた動機は、何だったのだろう結局(頭上に幾つもクエスチョンマークが)。

それと、こちらは揚げ足取りを承知で言ってしまう。
タイムスリップした先の人間に関わるな(歴史が、ひいては未来が変わってしまうから)の台詞をドモンが口にした途端、おまえが言うな!とすごい勢いで視聴者からの総突っ込み入った、に一票♪



ヒーロー関連なら、ここにきて『ザ・ケープ』が俄然面白くなってきたところ。
意表をつくオ××座の怪人風ホラー仕立てな前後編、特に前編の盛り上がりには(次回が気になる引きの強さも含め)まんまとハマった。来週もなかなか面白くなりそうな予感。
これまで字幕版の方で観てたが、放映の早い吹き替え版もチェックしたくなった。
ただ吹き替えって、声のイメージ合わないと悲惨だからなあ(声の相性は人一倍気になる方ゆえ、吹き替えには二の足踏みがちなのだ)。