脚本の気になる点など/ゴーバスターズ(4)&フォーゼ(27)


作り手に届くかどうかは(可能性ゼロではなかろうけれども)
とりあえず置くとして。
気になる点その他の感想を、思いつくままつらつら書いてみる。



特命戦隊ゴーバスターズ
Mission4『特命と決意』

先週分のは311と重なり(感想メモる作業が)つい飛んでしまったが、
柴崎監督のショット間の繋ぎ上手(気配りともいう)を
あらためて再確認した回だったなと。

ゴーバス三人の等身大スーツへの「変身後の姿」を、
最初は顔出し俳優が着用した姿で見せ、
次のショットでスーツアクターに入れ替わるのだが、

実際の背の高さが、顔出し俳優の時は青>赤
スーツアクターの時は(逆に)赤>青、であるのを

体つきの違いは兎も角、背格好の違いに極力違和感を与えないよう、

顔出し俳優の時のショットで、青を他の二人より数歩だけ後方に下がらせた位置に立たせ、
画面上の見た目の背の高さを、赤とさして変わらぬようにした上で、
SAにバトンタッチした後に、下がらせておいた青を、赤と黄の並びに戻す
(ここでようやく一列に並ばせる)、という一手間をきちんとかけている。

ショットの連続がつくる「アクションの流れ」を大事にする、すなわち、
スムースな繋ぎに気を配れるセンスこそ、柴崎監督最大の強みであり
優れた個性だと思っている。
映像は静止した写真とは違い「動くもの」、ゆえに繋ぎが巧い、というのは
とても重要なポイント。

単に映像がキレイなだけなら、静止写真に対する見方と変わらないわけで。

映像作品、なかでもカット割りの多いアクション系では、
あの繋ぎのセンスは貴重なはず。
流れの切れ味が違ってくるから。次の登板にも期待。


さて今週分。中澤監督は変身時の、名乗りから目前の敵へ突っ込むまでに
若干の「タメ」をもたせ、従来の王道をきちっと踏襲していたように思うが、
一度あの最初の突き抜けたスピード感を体験してしまうと、
やれポーズだの名乗りだのの「型」が邪魔して、一々つっかえるような従来方式が、
少々もたついて感じられても、仕方ないことだろう。

折りたたみ椅子の座面に手をつき、まっすぐ伸ばした身体を一回転させて飛び越える、
赤の押川SAによる美味しいアクション。
サービスなのかすぐ後で、鉄柵越えの華麗な足さばきまで披露するのに、前回での
病院の待合室の長椅子を、ハードル競技よろしく、前方に片方だけ伸ばした太ももを
「これでもかと魅せつけて」飛び越えたショットを思い出したり。太もも万歳。

ただ小林脚本の昔からの書き癖(なんだろうと思う、タイムの時と同じだから)というのか、
以前のブログでも指摘したことだが、一刻を争う緊急時に、仲間内のすれ違い解消のための
のんびり互いの胸のうちを語り合うイベントを無理くり入れてくるのは、
さすがに素直に承服しかねるものがある。
あと2分なんぼで、メガゾードが約3キロ離れたエネトロンタンクの傍に出現する、という
情報を受けた後で、なぜあの三人はあんなに長々とその場にとどまって語り合っているのか、
優先順位の判断もできないプロ意識に欠けた行動としか思えないのだが。
構成上あのやり取りが必要なのは分かる、
ただせめて、ぼーっと突っ立ってるだけじゃなしに、単純作業でもいいから、
手を動かしながら、身体は任務に従事しながら、口も動かせる(話ができる)状況を、
なんとか作り出せなかったのかと思うのだ。

どう見たって無能にしか見えない悲しさ、せっかくの先取り情報を無に帰す
(とっくに2分なんて過ぎていただろうあのダラダラしたやり取りの間には)
貴重な時間の無駄遣い、どこがプロなのか理解に苦しむ。

というかあの流れは、言っちゃ悪いが、TPOすっ飛ばして兎に角とことん話し合わないと
気が済まない、感情を最優先にしがちな「女の論理」に基づく行動だと思うんだが、どうかね。
今後その辺の検討(および見せ方の工夫)を望む。是非に。



仮面ライダーフォーゼ 
第27話『変・身・却・下』


ゴーバスが長くなってしまったので(随分端折ったつもりなんだが)、
フォーゼは簡潔に。申し訳ない。

脚本での気がかりといって筆頭にくるのは、JKの取り扱いが中途半端なこと。
仲間に加わる以前のひねくれ加減が嘘のように、一気に無害な賑やかし要員、
頭数揃えるためだけに存在する主人公のマンセー要員、に落ちてしまったのが、
返す返すも残念でならない。

あのキャラ(男版峰不二子だのネズミ男だのを連想させる「どこか油断ならない」イメージ)を生かしてこそ、
弦太朗の「学園の全員と友だちになる」と言い放った覚悟のほどが表現できるというのに、
何故に上手く使えないのか、もっと真摯に再考してもらいたい、
人間というものを都合よく動かすことの罪深さと向き合って欲しい、
たとえ子供向けだろうがなんだろうが、そういう忽せにできない原点は同じだと思うから。
宜しくです。

またJKや美羽がついこないだ表明してたはずの、ゾディアーツ化した他生徒への冷たい態度が、いつどういうきっかけで軟化したのか、
そこが有耶無耶なまま、なし崩し的にいつの間にか(親しげに話すようになっている)
というご都合展開が、非常に引っかかる。
エピソードにより脚本家が交代する上でのブレ、という理由だけでは
とても納得できるものではない、というのも、
このことは作品のテーマに関わる、主要登場人物(いわゆるライダー部員)たちが直面し、
彼らなりの解決策を期待された、いわば課題の一つと認識するからだ。

弦太朗の口癖である「学園全員と友だちになる!」は、本作の最も重要テーマであるのは
間違いないことだろう。であるならば、である。
ちゃちゃっと表面だけ誤魔化すくらいなら(唐突に美羽と玉枝を仲良くさせ、これで一件落着とする
ヌルいご都合主義で通すくらいなら)最初から大口叩くな、ということになるが如何か。
こちらにも(まあ出来れば、とお茶を濁すしかないが今では)根性入れたオトシマエを望みたい。

あとは、バトルパートをもう少し格好良く描くことで、日常とのギャップで
メリハリつけてくれると嬉しいなと個人的には思う。
変身前も後もずーっと平板で変わらない調子が、イマイチぐっとこないので。
ライダーは何よりまず格好良くあってほしいので。
ズッコケ三枚目もほどほどに、てか変身後はこれでもかというくらい
格好良さを魅せつけたっていいと思うなあ。
むしろ面白いかもよ、二重人格ぽい(ある意味危ないw)弦ちゃんてのも。





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