先・輩・無・用/仮面ライダーフォーゼ(30)

監督:坂本浩一、脚本:長谷川圭一

今週最大の収穫(はあと)は、めずらしく格好いい弦太朗が拝めたこと。
真っ白い歯を見せて「必ずあいつを助けてみせる!」と笑顔で約束。
さすが「皆の憧れのヒーロー」、決める時はびしっと決めてくれる。
謹んでハナマルを進呈。弦ちゃんいつもより三割増しで格好良かった。

◇二週にわたる今回エピは「守る」をキーワードに、仲良し新入生(にして今後サブレギュラー化するのか)ハルと蘭の、互いのジェンダーと密接に絡む、気持ちのすれ違いを軸にストーリーを運ばせ、
最後に大杉@今年度から担任、の「生徒を守るは教師の努め」なカッコつけ台詞で落とす〆方、纏め方がキレイだった長谷川脚本。

◇さらに冒頭で、ホロスコープス幹部三人の会話場面で、ゾディアアーツ化はムスカで7人目ではなく6人目なのでは、とヴァルゴの口を借り、わざわざ引っかかる疑問符を前フリとして投げておき、
最後に、流星が探し求めてきた本命のアリエスが隠し玉(ムスカの前の6人目)だったと手の内を明かすことで、次週への期待に繋げる流れも、巧い(視聴者興味の)乗せ方だと思った。

◇坂本監督印の、スピーディかつパワフルなアクションシーンの設計は確かに魅力的ではあるんだが、それ以上に半端ない頻度で挿入される「画面揺らしテク」が、チラチラ煩くて視聴の邪魔なのが痛い点。
バトルシーン以外でも常に不安定にゆらついてるのが不可解。
メリハリに欠ける一本調子の撮り方では逆に締まらない、集中が途切れるから退屈する、アクションの激しさの度合いに関わりなく、人は単調な刺激には「すぐ慣れて飽きる」ものなのである。
要は演出的なバランスが悪いのだと思う。

◇しかし前述したように、本作のヒーローである弦太朗を、いつもの軽い調子で全編押し切らず、要所要所で格好良さを強調する撮り方を、意識的にした(んだと思う)判断には全面的に賛同する。
ヒーローもののツボを理解した的確な演出(「この場面ではこういう演技を」的な細かい指示も監督の領分だろうから)に好感だった。

注目したのは、先輩不信に陥ってる蘭ちゃんと接する際の弦太朗の表情。
あの爽やか好男子100%な笑顔はどうだ。
びっくりしたし惹き込まれたし。
実に格好良かったあれは。あれでだいぶ見直した。

◇蘭ちゃんの子、先週の初登場時の最初の顔アップが、俳優デビューしたての頃の宮沢りえ似だった気がする。
その後はそうでもなかったが最初のだけね。これも映像の面白いところ。

◇弦太朗の素で身体張ったアクションを、先週から引き続き楽しんだが、
橋の上から下を流れる川へと飛び降りるのを、仰角アングルでのワンショットで見せたのが白眉だった。
ワイヤー使いが自然で良かったし。
(バトル時のは、最近はわざとらしさが目立つ出来で残念だったりする)

◇今回の結末はようするに

大杉、キターー!
顧問(コモン)、カモーン!

てな理解で宜しいのか(悪ノリ承知)。






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