はばたけ大御所!妄想撮影所の痛い罠/アキバレンジャー(6)

第5話の香村脚本に駄目出しした以上は、逆にいい!と感じた時には率直に褒めるのが筋というもの。
今回は脚本、演出、役者(ブルー役の顔出しの子)のどれも、練られてたし凝ってたし熱演だったしで、全編通じて見応えあった。
いつもの公認さまオマージュに加え、演劇VS映像も絡めた批評性が、ストレートな対立軸にならないよう(逆に異文化コミュ的なボジティブ要素をもたせて)仕組んであるのが良かった。
どちらのファンにも(むろん両刀使い含めて)嫌な気持ちにさせないというのは、大衆向けエンタメには大事なことだと思うから。
あまり排他方向に先鋭化しちゃっても駄目で、その辺のバランス感覚が今回は巧かったなと。
さすがベテラン、やるときゃやってくれる。

初っ端の、台詞はジェットマンBLネタで画ズラは百合(orヅカ)ネタにする二重構造は、(BL萌え)女子と(百合萌え)男子の一挙両得狙いなのか。したたかさの結果か、様子見による苦肉の策か。
グレイと結城凱のBL妄想には吹いたが、あと一歩ツメが甘い気がしないでもない。
前者を攻めで「女好き」の後者を受けでギャグ化すると、さらにキャラの持ち味が生きるんじゃなかろうか。
むっつりスケベテクで攻めるグレイに、抵抗むなしく食われちまう(そして新しい世界の扉を開けるw)結城凱とか。
やるならとことん。腰引けたお茶濁しの中途半端はよくない(と試しに煽ってみる)。

ゲスト敵の「係長」が下北(下北沢ホヤですと)だから演劇ネタにして、特撮ヒーロー番組すなわち映像との手法の違いを、戦法の違いとして見せていくのが面白い。
先制攻撃が灰皿飛ばしってどこの蜷川幸雄かと。演劇ファンの心くすぐる小技が憎い。
舞台では演出家がそこにあるといったらなくてもあるのよ!攻撃とか、暗闇で目が利かないなんて舞台役者としては失格よ!の「暗転」攻撃とかの演劇ならではの戦法に、不慣れゆえ振り回されるアキバレンジャーの三人。

彼らが対抗策にしたのが、馴染んだ特撮ヒーロー番組の、そして映像のお約束。
映像の世界はカメラに写ったことがすべて、とご本人特別出演(スゲー)の大御所SA新堀和男に教えられたブルーが、イエローが撮影担当、レッドが監督を務める「東映妄想撮影所」でのタイマン勝負に持ち込む。

この反撃パートがまた懐かしあるあるシーン尽くしでオモロイ。
虚無僧コスプレに、敵の脚の間に棒状武器を突っ込みぐいぐい(痛そうだ)持ち上げる股間攻め、敵とがっぷり組んで高所に飛び移る逆回しや、同じ動きを撮り方別に三回繰り返すテクなど、過去作への気の利いたオマージュ満載で楽しい。

絶好調のブルーの攻撃に対して、下北沢ホヤは「あんな一瞬の間に脱いで着替えてって出来るわけない!」とか「全然(攻撃が)当たってないのにこんなの(ダメージ演出なんて)嘘よ!」とか、演劇のノリで反論するも、妄想と映像マジックの世界では残念ながら通用しないのだった。
現実世界とは相性悪いからどっちも。たまたま巡り合わせが悪かったとしかw

おじさん呼ばわりされてるレッド君(名前まだ覚えてないや)の、ゲキレン思い出のビルミニチュアに興奮した挙句のなりきり日下SAネタにも吹いた。
あの声聞くといつもユースケ・サンタマリアを思い出す。

そしてそして。レッドホークをまさかの前田浩SAが演じるとは。
ゴーカイジャーのゲストで結城凱役を本家本元が演じたのと同様、ブラックコンドルも大藤直樹SAに頼んだ企画の第二弾という感じか。
往年のファンの喜びは如何ばかりや。狂喜乱舞、感涙にむせんでるんじゃないか。
個人的には横山一敏SAのレッドレーサーが拝めたら感無量なのだが。実現しないものかな。







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