Samwise Gamgeeによる珠玉の台詞


ロード・オブ・ザ・リングの二作目『二つの塔』を録画視聴。

終盤でサムがフロドに語りかけるシーンの台詞が素晴らしく、
これぞ今観るべき映画の一つという気さえしてくるほどに、
しっかり地に足をつけ、決して希望を手放さない決意の、静かだけれど
不屈の精神が沸々とみなぎっている、なんとも嬉しく頼もしい言葉に、
本作の掲げるテーマが見事に集約されている、と思った。


夜通し続いたヘルム峡谷砦の攻防戦が終わり、朝方の廃墟と化した城の瓦礫に囲まれた中での
死体の山が累々と築かれた殺伐たる光景にまるで似つかわしくない、素朴で小さなホビット二人の語らい。

指輪の魔力に踊らされ、サムの喉を剣で突き刺す勢いで迫ったフロドが、すんでのところで我に返り
一気に脱力、剣を取り落とし放心した体でポツリと一言、弱音を吐く。
僕には出来ない、(荷が重すぎる)と。

それへ、サムが万感の思いをその表情に込めて、切々と語りだす。



ええ 酷すぎます ここにいること自体 間違いです
でも ここにいる

まるで偉大な物語の中にでも迷い込んだような気分です
闇や危険がいっぱいに詰まっていて

その結末を知りたいとは思いません
幸せに終わる確信がないから

こんな酷いことばかり起きた後で
どうやって世界を元通りに戻せるんでしょう

でも夜のあとに必ず朝がくるように
どんな暗い闇も永遠に続くことはないんです

新しい日がやってきます
太陽は前にもまして明るく輝くでしょう

それが人の心に残るような偉大な物語です

子供の頃に読んで理由がわからなくても
今ならなぜ心に残ったのか よく分かります

登場人物たちは重荷を捨て 引き返す機会はあったのに、
帰らなかった
信念をもって道を歩き続けたんです


「その信念て、なんだい」

尋ねるフロドの、ぐったりと力なく柱に持たれているその腕を、
ぐいと引っ張りあげ立たせると、間近に向かい合うようにして、
さらに言葉を継ぐサム。


「この世には、命をかけて闘うに足る、素晴らしいものがあるんです」






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