目指すは(たぶん)壮大なるチェンジ


結局のところアメリカ国民はオバマ
さらに四年の任期更新を認めて
掲げた目標を達成すべく最後まで仕事を全うするよう
国の舵取りを託したわけか、
あと四年猶予をくれてやるから頼むと。

その支持者らにオバマもメールで
「これは運命でもなければ偶然でもない、皆さんが成し遂げたことだ」と
伝えたそうだが
あくまで主役は国民一人一人であると言いたかったのだろう。

それは勝利宣言スピーチでも同様に、
オバマが最も強調したいポイントの一つだったように思う。


互いの違いを越えた一つの家族、一つの国民として我々は協調し団結し、
ともに祖国を揺るがす未曾有の困難の数々に
怯まず臆せず立ち向かい続ける、
胸中に息づく絶対に消えない希望の灯火を掲げ
一歩でも前へ前へと進んでいく、

オバマは高らかに、また誇らしげに言い放った、
それこそがアメリカが勝ち取ってきた歴史であり、愛する祖国本来の偉大さであると。


祖国のために!

この合言葉にオバマロムニーもない、
愛国心に上下も優劣もない、またイデオロギーも思想も関係ない。
それが彼の国の良さ、特筆すべき美質かもしれない。

多様な人種によって構成されたアメリカという国を、運命共同体と表現し、
仲間を、同胞を、いたわり励まし助け合うのが
建国以来の麗しい精神と最大限に称えるのも、
オバマの溢れんばかりの愛国心のなせる技であり、

それを聞くオーディエンスも感極まって涙ぐんだりするのが
清々しいまでに素朴で純粋な祖国愛の発露で
どこか羨ましくもある。

何のための、誰のための、政治なのか。
オバマは問いかけていた、
何度も繰り返し、確認するように、
スピーチに耳を傾ける国民一人一人の
自覚を呼び覚ますように。


「この結果は皆さんの声が反映されたものです」

「(我々は)皆さんのための仕事をするのです
自分たちのための仕事ではありません」


二極化という形での分断が加速する現状を憂い、
協調と融和をモットーに
自国を一つにまとめ、他国とも穏やかに敬意を以って
良好な関係を築いていくこと、

彼の国の一部の識者の見解がどうあれ、
オバマがチェンジを唱えたアメリカのあるべき理想の姿は
その目指す核心部分は、四年前から一貫していると改めて感じる。

今更ながら彼の構想したチェンジとは本来が
アメリカの根幹と見做される部分に関わる「変化」だったんじゃないのかと
(たとえば連邦と州の権限をめぐる問題一つとっても)思えてくる。
有権者の認識を上回るスケールの変化だったのだ、おそらくその最初から。




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